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『即戦力がつく英文法』を読み終えました

 同業者の間で、最近発行された『即戦力がつく英文法』(日向清人著)という本が評判になっていたので、自分もさっそく購入して読んでみることにしました。450ページにわたって、比較的小さい文字で解説や例文がびっしり詰まっています。

 これまで読んだことがある文法書は、名詞、形容詞、動詞といったように、品詞別に語法や規則などを解説するものでしたが、『即戦力がつく英文法』は機能文法というアプローチで書かれています。従来の品詞別の解説とはまったく異なるアプローチで書かれたこの文法書は、とても新鮮でした。

 機能文法とは「語形変化や並び順といった英語の作りないし解剖学に終始せず、英語が実際に使われる「環境」にまで目を配りつつ、話したり書いたりする際、状況に見合う選択肢としてどのような文法形式が用意されており、英語ユーザーがそこからどのように選択しているかを説明する学習モデルです」(「機能文法というもの」@日向清人のビジネス英語雑記帳から引用)とのことです。

 動詞の世界を大きく「BE動詞の世界」と「普通の動詞の世界」の2つに分け、「普通の動詞の世界」をさらに6つのタイプ(アクションの動詞、メンタルな動詞、何かをもたらす動詞、変化・結果だけを言う動詞、存在・関係を言う動詞、起点・終点、接続を言う動詞)に分けて詳細に解説しており、とても興味深く読みました。

 ほかに、興味深い内容だったのが、第2部第2章の「フォーマル、インフォーマルを考えに入れる」と第3部第5章の「書き言葉の運用手順」です。

即戦力がつく英文法

 第2部第2章の「フォーマル、インフォーマルを考えに入れる」では、フォーマルとインフォーマルの使い分けについて、単語レベル、文法レベル、言い回しレベルで解説しています(フォーマル度を5段階に分けて説明しています)。われわれ日本人は、フォーマル度合いやインフォーマル度合いを感覚的につかむことが難しいので、とても参考になりました。また、Longman Dictionary of Contemporary Englishでは、話し言葉で頻出する単語はS1、S2、S3と表示され、書き言葉で頻出する単語はW1、W2、W3と表示されることを知りました(S3はもっぱら話し言葉で使われることを意味するので、書き言葉では避けるべきであり、W3はもっぱら書き言葉で使われる単語なので話し言葉で使うと浮いてしまうらしい)。今後、単語を選択する際に、Longmanのこの表示を参考にしようと思います。

 第3部第5章の「書き言葉の運用手順」では英文の書き方では、文章のつなげ方やジャンル別の英文の書き方など、適切な英文を書くことについて解説されています。英訳を行う者にとっては、この本の中で最も参考になる章かもしれません。

 また、全体を通じて英語感覚について触れられており、同じ内容を表す2つの英文について、ネイティブがそれぞれの文章についてどのように感じるかが説明されています。

 散歩の合間に喫茶店などで、また電車での移動中に、1日15分~20分程度しか読めなかったため、読み終えるのに2か月近くかかってしまいました。とても濃い内容だったので、今年中にもう一度、せめて2~3日で、メモを取りながら集中して読みたいと思います。『即戦力がつく英文法』は日英翻訳者にお勧めです。


4887245580即戦力がつく英文法
日向清人
ディーエイチシー 2014-12-22

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