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WildLightでケアレスミスゼロを目指す(和訳編)

 エントリー「翻訳者の翻訳者による翻訳者のための「小技の森」」でも紹介したテリーさんこと齊藤貴昭さんによるWildLightのセミナーが先日(5/14)ほんま会の主催で開催されました。以前のエントリー「SKITの勉強会でWildLightのデモをしました」でも書いたように、私は以前からWildLightのユーザーであり、新しい発見を求めてこのセミナーに参加しました(WildLightの入手と詳細については、WildLightのブログを参照)。

 古いバージョンでまったく不便を感じていなかったのでずっと更新していなかったのですが、新しい機能も加わってパワーアップしていたようなので、早速最新バージョンに更新しました。バージョンアップに伴い、辞書の記述方法にも若干の修正があったようなので、これまでに自作した辞書にも修正を加えました。

 WildLightの最大の機能は、複数の文字列を一括で検索し、該当する文字列をマーカーで色付けしてくれる機能です。これ以外にも便利な機能が多数備わっているのですが、私のWildLightの主な用途は、この検索・色付け機能を使って翻訳文のチェックに役立てることです。

 使い方はいたって簡単です。メモ帳や秀丸エディタなどのエディタを使って、検索(マーカーで色付け)したい文字列をテキストファイルに羅列するだけです(1行に1文字列)。ワイルドカードも使えます。WildLightでは、このテキストファイルを辞書ファイルと呼び、辞書ファイルを実行するだけで、目的の複数の文字列を一括で検索することができます。

 この機会に、私が具体的にどのような辞書を作成してチェックを行っているかを紹介させていただきます(今回は和訳チェックです)。使えそうなものがあれば、必要な修正を加えてご自由にお使いください。

である調NG文末辞書:「である」調の文書に時々「ですます」文が混入してしまうことがありますが、そのような「ですます」文を検出するための辞書です。

'---である調NG文末---
です。
でした。
ます。
ました。
ません。

ですます調NG文末辞書:「ですます」調の文書に時々「である」文が混入してしまうことがありますが、そのような「である」文を検出するための辞書です。

'---ですます調NG文末---
WILDCARD:ON
である。
いる。
[うくぐすずつづぬふぶむゆる]。
[ただ]。
い。
ない。

よくあるタイプミス辞書:同じひらがなのくりかえしなど、タイプミスしがちな文字列を検出するための辞書です。

'---よくあるタイプミス---
をを
はは
がが
にに
のの
すこと
しこと
もする

同音異義語辞書:「使用」「仕様」「試用」や「接地」「設置」など、誤変換している可能性がある同音異義語を検出するための辞書です。

同音異義語辞書(クリックすると別タブ(ウインドウ)で表示)

和文NGワード辞書:「又は」や「及び」など漢字で表記してはいけない単語、「かならず」や「けっして」などひらがなで表記してはいけない単語、「カ月」「ヶ月」など使用してはいけない表記などを検出するための辞書です。

和文NGワード辞書(クリックすると別タブ(ウインドウ)で表示)

和文チェックでは、テリーさんが用意してくれている数字チェック用の辞書と、上記の自作単体辞書を組み合わせたものを使用しています。特にスタイルが指定されていない和訳チェック用として、以下の「である」調用と「ですます」調用の2種類を作成しています。この2つの辞書も、使えそうであれば、必要な修正を加えてご自由にお使いください。

一般和訳チェック(である調)辞書(クリックすると別タブ(ウインドウ)で表示)
一般和訳チェック(ですます調)辞書(クリックすると別タブ(ウインドウ)で表示)

 一般和訳チェック(ですます調)辞書を適用した例を以下に示します。辞書で指定した文字列が正しく検出(マーカーで色付け)されています。

一般和訳チェック(ですます調)辞書の適用結果

 WildLightは、間違っている可能性がある文字列を示してくれるだけのツールであり、これを使ったからといって自動的にミスがゼロになるわけではありません。しかし、自分が犯しやすいミス(誤変換やタイポなど)を分析して、適切な辞書を作成することによって、ケアレスミスを限りなくゼロに近づけることは可能だと思います。今後、辞書の精度を上げてケアレスミスを限りなくゼロに近づけられるように努めたいと思います。


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